チョコレートの誘惑

ここ数日はとにかくにぎやかだった。コンビニに行けばバレンタイン。ラジオをつけてもバレンタイン。節分の太巻きは一気に駆け抜けていったような気がするが、ことバレンタインとなると、正月のお屠蘇が醒めるかどうかという頃からじりじりと迫ってきたような印象。
この日が近づいてくると街がピンク色に見えてきて、なんだかそわそわした空気がみなぎるように感じる。その子が、あの子が、みんな後ろ手に指を絡めうつむき加減で頬を赤らめている、そんな少女漫画のような絵になって見えてくる。どうも気恥ずかしい。
しかしこのイベント、もしかしてもしかするとチョコレートがもらえるかもしれない。そう思うと、ちょっと期待したくなったりもする。口元がゆるんでしまいそうで甘いものはあまり得意ではないのに、チョコレートだけは別。ちょっと苦みの利いた”大人味”のチョコレートのことを考えると、それこそよだれが出そうになる。
世間はどうあれ、そうそうおいしい話は転がり込んでこない。今晩楽しんでいるのはごくフツーの一口チョコ。巷で流行っているらしい超高級ショコラとは無縁の、ささやかな味わい。これで結構、至福なひととき。