ボタンひとつ

「電話の絵とモンジのとふたつあるけど、これ押しとけばいいの? 電源と書いてあるとこ押したらあかんやろ? これどうしとけばいいの? せやから、、、」町中に聞こえるんじゃないかと思えるくらいの大声で、おじさんが一人がなっている。相手は携帯電話。用件はとっくに済んでいるようなのに、そんなやり取りがずっとつづいている。あまりにもおかしくて、こっそり見つづけてしまった。
先頃T社から発売された通話機能しかない携帯電話が、しばらくよく売れたという。極端と思えるほど機能を絞り込んだその電話機の登場を、待ち望んでいた人が意外と多かったということ。機能は減らさずに操作が簡単にできるよう工夫するD社ともまた違った、意欲的な提案だと思う。
使いやすいかたちにするって難しい。ひとつのものを手にしたとき、それをどのように使うかは人それぞれ。場所も、時間も、年齢も、性別も、癖もみんな違う。間違えないようにするためには、単純にするしかない。ひとつの機能にスイッチひとつ。何のためのスイッチか、入っているか切れているか、一目瞭然だったら迷わない。
そうはいってもこのご時世、ボタンひとつで地球が吹っ飛ぶようなスイッチなんてのもある様子。簡単にすればいいとは、一概にはいえないらしい。