タケノコにょっき

仕事場のお向かいに、住宅が建ち上がった。木組みを始めてから2ヶ月。あっという間。景色が変わってしまったのは残念だけど、仕方のないこと。さぞ眺めのいい部屋ができたんだろうなぁと、想像してみる。
そこの大工さんと、ちょっと知り合いになった。業者さんは入れ替わり立ち替わり、自分の受け持ちだけを済ませて去っていくけど、大工さんは最後まで携わる。毎日顔を合わせているのだから、当然と言えば当然。あるときは、こっそり居間にあがらせてもらった。まだ家主も見たことのない景色。想像通りの、いい眺め。
そんな大工さんが、桜の時期になると何となくそわそわし始めた。どうやら大工さん仲間とのタケノコ掘りが好きな様子。うちが裏に抱える崖は、一面の竹林。以前、所有者がいなかった頃は時折掘りにきていたと言う。せっかくの出会いだったから、時期を見計らって山に入ってもらった。喜び勇んで林に分け入っていく3人。
しばらくして出てきた彼らの肩に下がっていた袋には、タケノコが山のように入っていた。思う存分掘れたその顔は、子どものようにほころんでいる。そしてこれから帰ってどう料理するのかうれしそうに教えてくれる。幸せを振りまくタケノコ林。うちにとってはもちろん、近所の子どもたちにも、地域の環境のためにも、こういった喜びのためにも、いい土地だと思う。
お向かいさんが引っ越してきたら、タケノコをお裾分けしてあげよう。これから長い付き合いになる。