夏の暑い一日

立ちこめる線香の煙。途切れることのない人の波。祈りの声。梅雨時なのになぜか晴れることの多いその日。今年も暑い一日だった。
この国で唯一地上戦を記憶する、その土地が迎える60回目の組織的攻防の終焉の日。平和を祈念する広場で、過去の悲惨なできごとを悔やみはするものの、平和を希求する姿勢を見せることなく退散した来賓を乗せた黒塗りの車の列が、信号機を止めて一般の車を遮断した田舎道を、ノンストップで走り去っていく。
戦の後、野ざらしになっていた遺骨を最初に葬った場所。そこに集められた亡骸は敵味方を問わず、4万に近いといわれている。慰霊に訪れる人たちのたたずまいの中に、その時代をまさに生きてきた人は少ない。時が流れ、価値観が移ろうのは自然なこと。しかし世代を超えて語り継がれていくことがあり、あってはならないことがある。
自分のこと、相手のこと、世界のこと。様々な立場のことを想像できる力を豊かにもつことができるのがヒト。誰にとっても住み心地がいい、平和な世界を願ってやまない。