展覧会の紹介

展覧会の紹介です。
父で彫刻家の望月菊磨の作品展示と、座談会が西麻布であります。
作品は、年始に銀座で開催した個展「時の庭」からの再構成。
ギャラリーとは異なる、邸宅内での空間表現が面白そうです。
今回は、会期の終わりに座談会も開かれます。
作家活動40年以上の経験から語られる言葉とは。
ぜひご参加ください。

彫刻家の望月菊磨さんは、真鍮、ステンレス、鉄、アルミニューム等を相手に叩き、曲げ、切断し、削り鑞付け、溶接して造形する。硬く冷たい金属との戦いは40数年に及び、とうとう昨年の暮れは、個展のための大作制作中に指が動かなくなってしまった。膝と腰を痛めながらも制作を全うし、無事に個展は開かれ、渾身の大作「時の庭」は夜の銀座の裏通りに輝きました。
頑張ったお父さんを誘って、一緒にタイとベトナムを旅したのは末っ子の翼さん。陶芸の長男と木工作家の次男、造形作家として大活躍の母親と、アートなファミリーの中でただ一人のサラリーマンの三男が、家族を陰でつないでいる。この父と子の対話から身近にある「アート」について語り合い、ファンタジーを追いかけるお父さんのお話を聴きます。
・座談会
2016年5月29日(日)午後1時開場、午後2時開始
地階の中庭でワインとピタパンをいただき、引き続きキクマさんを囲んでお話を伺います。製作に込めた念い、そのプロセスで想ったことなど。
・展示
5月21日から29日(28日を除く)午前11時から午後5時まで
菊磨さんの抽象彫刻は分かり易い。金属という素材の限界を露呈する「破壊シリーズ」、金属が限りない可能性を触発する「喚起装置」、その帰着点を暗喩する「時の庭」。幾つかの造形シリーズで金属のテクスチャーの美しさを引き出し、時には紙のように薄く、或いは布のように織ったり、軽いのに重く見える塊で眼を欺くなど。金属独特の属性を多面に変容させる菊磨さんの魔術は、金属に対する暴力的な強要と、優しい気配りの微妙な混ぜ合わせにあるように思えます。
金属素材による制作は身体的な疲労と苦痛を伴います。金属に打ち込まれた「詩」、表面に描き出された「景色」、空洞を包み込む「塊」。金属を叩いて薄く延ばして平面にする、ヴォリュームを産み出す金属板の厚みを加減する。切り裂き、引っ掻き、折り曲げる。言葉ではなく、絵筆ではなく、鎚と鏨と鋏。全身を道具にして表現する彫刻家は常に肉体的限界に向き合っています。頑張れ菊磨さん。「時の庭」の後にくるのはなに?
The Dininghouse M Nishiazabu
HOUSE M 1F・BF 3-9-11 Nishiazabu Minato-ku Tokyo
organized by 朱 暁雲 Zhu Xiao Yun(xiaoyun@netvigator.com)/松田 直(naomatsuda@netvigator.com)